VEJの宮沢です。
音楽フェスティバル『ハイライフ八ヶ岳』は、山梨県北杜市で開催される大自然の中で音楽はもちろんのこと、飲み物や食べ物、ワークショップやクラフトなどが楽しめるフェスティバルだ。
2021年、新型コロナウィルスの影響で延期をしながら2022年で5回目の開催となった。
VEJとしては、4回目の参加で主催アースガーデンと共に共催としてフェス全体に携わっている。
さて、ハイライフに関しては折々VEJのnoteで関わり方やフェスに関する想いを綴ってきた。
▶ハイライフ八ヶ岳2022を終えて|VEJ Yamanashi|note
▶ 『ハイライフ八ヶ岳2022』のオフィシャルWEBにおけるアクセス解析を元にしたチケット券売やSNS広告について|VEJ Yamanashi|note
なので、この記事としては、WEBと映像の制作会社としてハイライフで何を制作したか紹介しようと思う。
フェスを感じ取れるメインビジュアル
まず最初に動き出したものとしては、メインビジュアルである。メインビジュアルはまさにイベントの顔。ビジュアルの印象でどんなフェスか感じ取ってもらうこともできるし、ここから広告展開として、WEB、映像やCM、ポスター、フライヤー、会場装飾など様々な形に展開されていく最も大事な制作物だ。
2022年はどうやって仕上がったのかというと、まず例年開催されていたサンメドウズ清里から会場が女神の森ウェルネスガーデン&セントラルガーデンに変更になったということをどう表現するかということ。絶景フェスという謳い文句が変わるのはとっても大きな変化である。会場が変更になって残念に思って欲しくない。そもそも会場が変わることを気づいてもらう必要があった。
なので、可能な限り会場の雰囲気を感じ取れるビジュアルにする必要があったのだ。そうしてVEJのデザイナーキムラダイゴが仕上げたビジュアルがこちら。
イラストはイラストレーターのJAROSさんにお願いをした。ハイライフのコンテンツをふんだんに盛り込んだ内容と、ステージを囲む赤松の林を描いてもらった。また、過去のテイストを継承しながらも新しいハイライフ八ヶ岳を感じ取れるビジュアルになっていると思う。
各所で配布されるフライヤーとポスター
ビジュアルの流れで、フライヤーとポスターを作った。実は出演者発表のタイミングでいくつかバージョンがある。
そして、実行委員会含めフェスに携わるみんなでフライヤー・ポスターの配布や配送をするのである。VEJゆかりのお店にもたくさん協力してもらった。今年初の試みとしては、駅構内にポスターを貼ったことだ。
甲府、松本、清里、富士見だったと思う。各所設置の金額もまちまちでその知見が溜まったのも良かった。(そんなに高い金額じゃない)
フェスの中心メディアとなるWEBサイト
そしてVEJのメイン業務であるWEBサイトの制作。
▼ハイライフ八ヶ岳オフィシャルサイト
実はイベントのWEBサイトとフェスティバルのWEBサイトの大きな違いとして、毎年開催するのか、一回開催するのかで、サイトの作りとして大きな違いがある。
もちろん、毎年制作する人が違うのであればその通りではないが、過去に様々なフェスのWEBサイトを作ってきたVEJとしては、どうやって開催する前と開催した後でサイトを管理するべきか、いろいろ試してきているのである。
フェスとしては、過去の実績が今後の展開に大きく影響する。なので、過去の開催情報も可能な限り残すべきなのである。しかしながら、WEBページの上書きをしてしまうとSEO的にもお客さん的にも過去記事が混乱を引き起こすことがあるのだ。なので、可能な限りユニークなURLと内容や文章の書き方が大事となる。
以上のことを考えて、ハイライフのWEBサイトは、トップページとイベントページが分かれている。
それと、表側では分からないが、ワードプレスを活用したテンプレート化がふんだんに盛り込まれている。そうすることで制作側の属人化を防ぎ、誰でも即時に情報の更新が行われるようになっているのだ。また、アーティスト情報、出店情報を様々な切り口からページ遷移出来るように、フォーマット化されているのである。
加えてnoteにも記載したが、チケット購入をコンバージョンと考え、解析も行いWEBページを開催まで随時アップデートを繰り返してきた。
▶ 『ハイライフ八ヶ岳2022』のオフィシャルWEBにおけるアクセス解析を元にしたチケット券売やSNS広告について|VEJ Yamanashi|note
フェスの目的となるテーマやコンセプトを考える
2022年、1番力を入れたと言っていいのはこのコンセプト作りだ。
果たして音楽フェスにコンセプトやテーマが必要だろうか。
音楽フェスはコロナを経て大きな転換期を迎えていると思う。それは感染リスクを伴った来場に始まり、多種多様なフェスが溢れかえったことによる差別化とか、いろんな理由がある。
その中でも、テーマが必要と思ったのは実は俺自身のためでもあった。
「何故、地方で小さなフェスをやるのか?」
その問いにずっと答えを探していたからである。
そうして生まれたのが、
「WANDERLUSTワンダーラスト」というテーマだ。
探究心という意味を持つその意味合いは、ライター葛原さんのアイデアだった。加えて「開拓」「実験」「発酵」というハイライフならではのアイデンティティを見出した。
VEJのデザイナー山形によってアイコン化を行い、ステッカーを制作。各所無料で配布したりリユースカップにも使用し周知を目指したのである。
自分たちと身近なアーティストに来てもらう
2022年のブッキングは、例年と変わったところがある。それはブッキング担当が俺を含め、AUTO君、葛原さん、そしてマイケルことVEJ坂本の4人が主導した点である。開催までの2ヶ月ほど、毎週ミーティングを重ねた。4人で大事にしていたのは、「関係性の近いアーティストを呼ぼう」ということだった。
関係性が近いことで、フェスならではのなにか面白いことができるかもしれない。そんなことを思ってブッキングを進めていたのである。実際、開催前にインタビューや発酵ツアー、SDGs動画など様々なチャレンジをアーティストと共にできたのである。
発酵サーカスを含む楽しくて美味しい出店マーケット
新しい会場で、かつ、エリアが離れている今回のフェス。VEJ清水柊子がアースガーデンと協力して、ほぼ全ての出店コンテンツをブッキング。出店のほとんどが山梨および長野のお店が中心となっていた。 そして、何より発酵兄妹プロデュースの発酵サーカスが、会場の雰囲気含めとても評判が良かったのである。
開催に向けて、読み物や映像のコンテンツ作り。
主催対談からスタートし、starRoさんによる発酵ツアー、リビセンのインタビュー、ermhoiの SDGs動画など、2022年のハイライフ八ヶ岳が何を目指しているのか?プロモーションも兼ねて作られたコンテンツは、開催後でも十分楽しめる内容になっているはずだ。
▼『ワンダーラスト的SDGs講座』講師:川嶋直さん/聞き手:ermhoiさん
instagramストーリーやYouTubeショートをターゲットにした出店PR動画
例年だとアーティストからコメント動画を送付してもらうなど、事前PRに活用していたのだが、2022年は出店者から動画を送ってもらったり、VEJで撮りに行ったりして動画を作成した。なるだけ短く手軽に見てもらえるようストーリーやショートをターゲットにしたのである。この動画の制作はVEJの樋泉舞子が全てディレクションや編集を行なった。
ビジュアルやテーマを表現した会場の装飾やステージ美術
美術の小田切さんと相談しながら、メインステージの装飾に「開拓」を表現。小田切さんとは看板用のカッティングシート貼りをVEJ西野ともにレクチャーしてもらったりした。
クラブステージには6面モニターで映像が出力できるシステムを作り、ロカペニスことVEJ斎藤洋平に複数のプロジェクターを使ったVJを。発酵サーカスのステージは、汎用性の高いテントを手配して自分たちで飾り付けをおこなった。
JAROSによるロンTオフィシャルグッズ
ビジュアルを手がけたJAROSさんに「ワンダーラスト」をテーマにしたロンTのデザインを依頼。フェスに限らず普段でも着れるようなデザインになっている。
思い出と共に残る写真と映像。
そして当日、我らが絶大な信頼を寄せるカメラマンに写真と映像を残してもらう。
地域貢献という豊かさを作る
最終的に今まで作ってきた物はこのためだと言って良いと思う。
簡単にいえば、参加してくれた人が「良かった」と思ってもらうことが全てだと思う。
それは良い感じに言うと「幸せや豊かを作る」ってことのような気がする。幸せとか豊かさとか言葉で説明出来ないから難しいんだけど、そうってあったら良いという願いを込めてそうだと思う。
もともとハイライフにVEJが参加しようと思った理由は、音楽が好きだということと、ウェブをはじめとする様々なクリエイティブの力で、地域貢献を実現したいという思いからだ。
俺の言う地域貢献ってお金のことではない。
俺の思う地域貢献は、場所や人が「なんか良いな」思えるような体験を増やすことだと思っている。
2022年で5回目、まだ小さな規模だけど、少なからず「ハイライフに行って良かったよ」と声をかけてくれる人が増えた気がした。
普段、Web制作でパソコンの前から動かず、作ったものに対する感想をあまり聞く機会のないVEJとしては、お客さんと同じ現場で体感や体験できるのは本当に貴重な機会だと思う。
最後にVEJのホームページに「私たちは、想像をカタチにする会社」とあるが、まさにハイライフ八ヶ岳という音楽フェスを通じて我々はあらゆる想像をカタチにしたんだと思う。
そして、これからも自分たちのクリエイティブによってカタチを作って終わりじゃなく、地域や社会の貢献になるようさまざまな制作を頑張っていきたい。
ハイライフ八ヶ岳2022 クリエイティブディレクター
VEJ 宮沢喬
2022年9月10~11日 『ハイライフ八ヶ岳2022』
小淵沢女神の森ウェルネスガーデン&セントラルガーデン
舞台監督:高野 洋/亀山幸彦
音響:TECHSTURE LLC
照明:G・D
美術:甲斐の匠
写真:丹澤由棋、折井康弘、平林岳志、古厩志帆
ダイジェスト映像:清水俊明
ライター:野呂瀬亮、葛原信太郎
ステージ制作:HOW STUPID Co.,Ltd
広報:土田愛
デザイン:VISUAL AND ECHO JAPAN
制作/運営:アースガーデン
実行委員長:三上浩太
クリエイティブディレクター:宮沢喬(VEJ)
プロデューサー:鈴木幸一(アースガーデン代表)
企画制作:(有)en
共催:VISUAL AND ECHO JAPAN
主催:ハイライフ八ヶ岳実行委員会/アースガーデン
文: 宮沢 喬
Digital producer / VJ