「売上!数字!」よりも、誰かの心が動く仕事を
かすみママは、30代半ばの若さで一人でお店を切り盛りしている。恐る恐る話を聞きに店に入ると念入りにトイレ掃除をしている最中であった。まさに飲食の鏡。
いろいろと話を聞くと、彼女のこれまではなかなか波乱万丈であることがわかった。
東京の大学を中退し、厳しいバイトでもがいていた彼女が辛いとき、いつも支えてくれてたのが「まあ飲みなよ」と声をかけてくれた周りの大人たちの存在だったそう。
その後も接客業を続け、山梨に戻ってからは心機一転、家具販売へ。実際に私も偶然かすみママの家具屋さんでの接客を受けたことがあって、丁寧・親切で「この人から買いたいな〜」と思える神接客だった。
ただ家具屋では、「売上という名の数字」を追いかける日々が続きだんだんと苦しく、違和感を覚えるように……。。
「数字は大事だけど、それ以上に、誰かの心を動かしたり、満足させたりする仕事の方がやってて楽しいじゃん」と彼女はあるとき思ったという。
そんな気持ちを、周囲の仲間に話すと、「スナックいいじゃん!」「スナックやってほしい!」という声が上がると同時に、あれよあれよと物件探しがいい意味で勝手に始まり、今の場所で構えることに。
「昔自分が救われたように、今度は自分が誰かの拠り所になりたいのかも」と語る彼女の店には、不思議と若い子や女性のお客さんもたくさん集まってくる。たしかにあの神接客だから、行きたくなる気持ちはわかる。
きっと彼女が神接客な理由は、単なる「労働」としてではなく、自分やお客さん同士が仲良くなって、居心地の良い空間をつくるスナック特有の「沼」のような空間を、誰よりも楽しんでいるから。それがみんなに伝わっているに違いないと感じた。
街の「居心地いい場所」を、次へつなぐ
最近は、さらに若い子から「私もスナックをやってみたい」と相談を受けているのだそう。「そう言われるの、とっても嬉しいんです。それぞれに場所を持って、ママをやってほしいなと思う」とかすみママ。彼女がスナックを次世代につなぐということを、その歳であまりに自然にこなしているのに驚いた。
moiのような場所に共感し、若い子がそれぞれの街で同じ商売を広げていくというのも、この仕事を続ける醍醐味なのかも。これも、ある意味事業継承なのでは!?とも思う。
彼女が目標にしているのは、なんと四十年近く店を続けている地元の大先輩ママだそう。
「肝臓が持つまで、私もこの場所を続けていきたいです」と笑っていたが、並大抵の覚悟ではないと思った。すごいよ、かすみママ。
「街の良い人たちに恵まれているだけです」と謙遜気味に話す彼女だけれど、間違いなく誰かの拠り所であり、愛されている存在。その裏には、店舗をきれいに保ったり、居心地のいい空間を作り続けているかすみママの努力があるんだよなあと思った。
私たちもただモノを売ったり企画を立てたりしているだけじゃなく、「なんかいいな」の引力を絶やさずに、誰かが沼るきっかけをつくり続けることが大事だと改めて感じたmoiでの時間だった。
かすみママありがとう。業種は違えどへこたれずに私もなんちゃってママなりに甲府の街で頑張るよ。
と韮崎のスナックで学んだ夜のこと。
せっかくなので
文化沼店長柊子とマイコハンもお仕事体験
知らなかったスナックママルール

①ドレスは基本着ないわよ!
ドレスのイメージが強かったけど、スナックのママの格好は自由!着飾りすぎないママが素敵!

②マドラーは反時計回りでまわすのよ!
水商売の現場で「時間を巻き戻す=もっと一緒にいたい」というお客様への心遣いを表す所作。おもてなし心って細かいところまで抜かりないんだな。

スナック moi
〒407-0023 山梨県韮崎市中央町2-17 1階
080-7008-5295
文化沼でも不定期でイベント開催中。
その名も『スナック沼』よかったら遊びに来てね。
