2017年にUターンし、京丹後オフィスを構え5年。

これまで、ご縁の中で丹後の地を中心に数々のPRに関するお仕事をさせていただきました。

その中の1つでもある、丹後ちりめん。

丹後ちりめんとは、京都府・丹後地方で緯糸(よこいと)に強撚糸(きょうねんし)を使用して織られ、丹後で精練加工を経ることで生地表面にシボと呼ばれる凹凸が生まれる、後染め織物の総称です。丹後地方が誇る伝統工芸ですが、伝統の技法だけに留まらず、多種多様な生地・染め・織りのバリエーションがあります。

そんな丹後ちりめんを織る機屋が以前は多く、幼少期に近所から聞こえてきた機音(はたおと)の記憶には、特別な想いがあります。丹後出身の方は似たような記憶がある方が多いのではないでしょうか。

現在、丹後ちりめんと直接関わる仕事をしているわけではない私ですが、お仕事の中で数々の職人の方と接する機会をいただきます。職人の方々の想い・仕事にふれる度に、丹後ちりめんの深さ・多様性に驚嘆し、何か力になれることはないかと心の隅に思い続けていました。

自分にできることは何か?

これまでのアウトプットとして、丹後ちりめんを知らない人との接点・入口の1つになりたいと思い《丹後ちりめん×デジタル》をテーマに、高さ5.5mの丹後ちりめんに対してインタラクティブコンテンツ『Digital Warp』を制作しました。この作品は身体を動かすことでセンサーが反応して機音がガチャンガチャンと鳴り、デジタルの経糸(たていと)が反応し揺れます。

作品を体験した子どもが1日の終わりの家族のゆったりとした時間に、親やおじいちゃんおばあちゃんとの話題にしてくれたら。インタラクティブコンテンツによって、家族の中にも双方向のコミュニケーションが生まれることを願い制作しました。

展示期間中には『Digital Warp』を体験し、暑くなったからと言って上着を脱いで笑顔で遊んでくれた子供から、初めましてやお久しぶりな方々まで、さまざまな感じたこと・アイデアを共有してくれました。私自身では見えなかったこと・より丹後ちりめんを楽しんでもらえるアイデアの種をいただけたのです。

普段の映像制作ではデスクワークがほとんどの私にとって、直接フィードバックをいただく機会はとても貴重であり、コミュニケーションの中にこそ喜びがあると再認識しました。

今回のフィードバックというコミュニケーションを基に、私達VEJは面白がってくれる方々を巻き込んでいきたいです。丹後ちりめんを含め、丹後地方での入り口や接点をさらに作っていくためにアップデートし続けます!

文: 藤原 徹也

Director / CG designer