見たことのない表現をつくるおもしろさ。
笹村 宮沢さんとは会っても年3,4 回とか?でも、ずっとチャットはしてるから、会ってない感じはしなくて。
宮沢 たしかに。ウチの社員と同じくらい笹村さんとコミュニケーションをとってる部分はあるかもしれない。
笹村 そのバイヴスを第二世代に継いでいきたいなと。それができると、築き上げてきたものが生きていく感じがする。
宮沢 nanouってどんな意味があるんですか?
笹村 エイフェックスツインの曲名なんですよ。何もイメージされない言葉を第一に、音楽好きだから好きなアーティストの曲名から引用したっていう。何も思想がないまま会社を始めたんですよね。
宮沢 音楽が好きじゃないとTURN(5ページWORKS 2を参照)も始めないしね。ウチの会社は来年20周年だけど、事業コンセプトをアップデートしようとしていて。
笹村 会社の思想もそうだけど、そもそもなかったものを生み出すのは本当に難しいよね。
宮沢 おれが思うにnanouとVEJがうまくやれてる理由は、つくるサイトのクオリティが似てるというか。nanouのデザイナーの曽根さんがカタチにしたいものをウチらが実現するんだけど、そのプロセスがやりやすい。
笹村 フィードバックシートで仕事できることも大きいと思う。1px動かす、演出を何秒にするとか、すごく細かい修正を大きいサイトだと200行くらいやりとりするじゃないですか。これを普通の開発会社とやると、二度と仕事しないとか、見積が倍になるっていう感じなんですよ。でも、宮沢さんとは目指すところが一緒だから、「たしかに気持ち悪いよね」っていう違和感を共有できる。
宮沢 コーディングの観点から言うと、実はnanouのデザインって効率的ではないものが多々あるんだけど、それをやることで今まで見たことのない表現になっていく。めちゃくちゃ頭を使うんだけど、すごくおもしろくて。
笹村 こういう場で言うのもアレだけど、VEJがいないとウチは成り立たない。絶対に断られないし、その安心は営業するときに強いわけですよ。
宮沢 笹村さんがVEJの営業を担ってくれてる部分もあるよね。人の懐に入り込むのがうまい。
笹村 会社をやってる理由をわかりやすく言えば、お金を稼ぎたいからであって。どんなに忙しかろうと提案しますよ。ゲスかもしれないけど、つくるものはめちゃくちゃキレイな自信があるから。
宮沢 そのギャップがウケるんだろうね。
信頼関係さえあれば、どこでも仕事できる。
宮沢 おれが山梨に移住するって言ったとき、どう思いました?
笹村 仕事に疲れて引退するのかなって思った。VEJがいなかったらヤバイなって、一瞬ザワッとしたというか。でも、変わらず仕事していくなかで安心できて。
宮沢 あえて他のお客さんにも伝えてなかったんですよ。移住しても同じことを続けていける自信があったから。現に山梨に行ってから売上は伸びてるけど、移住やテレワークを推奨したくはないかな。信頼関係がないと難しいから。
笹村 これは文字にすると恥ずかしいけど、信頼関係さえあれば、どこで仕事しても余裕っていう。ウチに岩崎っていうデザイナーがいるでしょう。彼女は一時期イギリスにいて強烈な時差があったけど、それでも仕事が成り立ったよね。
宮沢 そういう意味では岩崎さんから学んだところもあるのかも。笹村さんはよく海外に行ってるけど、海外に住みたいとは思わないの?
笹村 それは難しいんだよなあ。
宮沢 別に海外に行ってほしいわけではないけど、笹村さんがいくところまでいくと、ウチも対応するために技術を頑張ろうと思う気がする。
音楽と人材と賞レース。
宮沢 VEJとやってみたいことってありますか?
笹村 やっぱり音楽イベントかな。あとは人材交流。デザイナーとコーダーがお互いの苦労を見ることで、もっといい仕事ができると思う。想像力がつくはずだから。
宮沢 おれはnanouのデザインの思想やプロセスに興味がある。あとは何かクリエイティブの賞を獲りたいね。
笹村 獲って、海外の仕事を増やしていけたらって思う部分もある。
宮沢 今日話してみて、おれは意外に笹村さんのことを知らないんだなって思った。そもそも友達じゃないしなって。
笹村 やることやったら帰るっていう仲だから。仕事関係ではあるけど、たまに飲みに行っても、仕事の話はしないかな。むしろ、おれが付き合ってる子の話とかね。いま気になってる子の写真、見てもらってもいいですか?
宮沢 え、可愛い!
笹村 ってことを話してるっていう。
nanou inc. 笹村祐介
東京に本拠地を置くクリエイティブ・エージェンシー、nanou inc.の代表取締役。その他にも音楽メディア「TURN」の運営を行う。
nanou.ws
nanouとVEJが手掛けたプロジェクト。
その一部をご紹介。
TURN
nanouが企画・運営を手掛ける音楽情報メディア。インタビュー記事やディスクレビュー、レポートなどを通じて、国内外の音楽シーンのカルチャーを発信している。VEJはフロントエンドコーディングを担当。
http://turntokyo.com/
TOKYO MUSIC ODYSSEY 2018
「都市と音楽の未来」をテーマに、東京、渋谷から発信する都市型音楽フェスティバルのwebサイト。VEJがディレクションとフロントエンドコーディングを担当し、nanouにデザインを依頼した。
https://tokyomusicodyssey.jp/2018/