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vol.01 | 2017 | December

OUR BASE #2 甲府

VEJ甲府オフィスが開設されたのは2016年9月のこと。ベテランスタッフの宮沢喬が山梨に移住することが決まり、会社として本人の希望を叶える形でリモートワークをスタートさせました。2017年4月には甲府在住の清水柊子を迎え入れ、甲府オフィスは2人体制に。2人が山梨での時間から見えてきたものとは?

文:加藤将太 写真:土屋誠

VEJをきっかけに、山梨に新しい風景を作りたい。山梨での交流に会社の未来に還元できるものがあるはず

支社を設立する場合、営業利益が見込める場所を選ぶことが一般的な考え方だと思います。しかしながら、VEJが支社を構えた山梨県甲府市は何の縁もない都市です。私たちが甲府オフィスを設立した理由、そこには長きにわたるメンバーである宮沢喬の存在が深く関わっています。

宮沢が彼の祖母が暮らしていた山梨に移住したいと夢見ていることを、私たちも本人から聞かされていました。やがて結婚し、愛娘を授かると、VEJ 15周年を迎えるタイミングにそれは現実味を帯びてきます。代表の池田と何度も話し合ったうえで宮沢の山梨移住は決まると、当初は山梨から青山まで約2時間かけて通勤していましたが、VEJの外部パートナーである編集者の加藤将太さんと甲府でオフィスをシェアすることに。中心地の物件を契約し、VEJ甲府が誕生しました。

宮沢はフロントエンドエンジニアとVJを兼務していますが、甲府では、毎日のようにiPadのモニター越しに映る東京のメンバーと連携しています。今では山梨の案件が少しずつ増え、甲府在住の清水柊子が仲間入り。徐々に甲府でのワークスタイルが形になってきました。

「東京には週1ペースで通っているけど、リモートワーク感は柊子の方が強いかも。クライアントとのやりとりは俺だけど、制作に付随する東京スタッフとのやりとりは彼女に任せているので」

清水はウェブ業界未経験からVEJに入社。いきなり東京と甲府を往復したり、モニター越しに会話したりなど、未経験者にはハードルが高い部分もありますが、VEJに入社したこと自体が周囲とのコミュニケーションツールとなり、そこにモチベーションを感じているといいます。

「VEJに入って、もともとの知り合いと密に仲良くなれて、甲府での輪がすごく広がった感じがするんです。それは自分で行動したというより、ミッチェさん(宮沢の愛称)と一緒にいると私を覚えてくれることもあるし、会社のことを話すと仕事の相談に繋がる機会が多くなっていて。私は東京から実家に戻ってきたけど、地域に貢献したい気持ちはなかった。でも、今は自然とそういう気持ちになっていますね」

VEJ甲府オフィスは甲府駅から徒歩7分ほどの距離に位置するパリスビルの3階にあります。1階は45年続く喫茶店・ダン、4階はビルオーナーの渡辺重彦さん(御歳89歳)のご自宅です。オフィスの内装はVEJ東京オフィスの設計者でもある鈴木一史さんによるもの。無機質なコンクリート空間に白ベースの家具を配し、シンプルながら洗練された佇まいに仕上げてくれました。この場所で、宮沢は芸術的な写真集を鑑賞し、清水はフランス人形を愛でるなど、日々のルーティンに余念がありません。

会社が地域や社会に貢献するとはどういうことなのか。宮沢は山梨に移住し、清水を迎え入れたことで、その意味を理解できたといいます。

「山梨は地域と仕事が密接に関係していることに気がついて。お祭りとかに参加することから、自然な流れで仕事が生まれて、地域への関わりが自分たちの事業に還元されていくんですよ。俺たちも既にそうなりつつあるのかも。柊子のおかげで地域との接点は圧倒的に広がりました。やっぱり地元の話は、Iターンの俺には分からないから」

二人は影響し合い、ほぼ同時期に骨折も経験し、VEJ甲府には心地よいグルーヴが生まれました。山梨から見えてきた可能性、そこにはVEJの将来に還元できるものがあるはずだと心が躍ります。

「山梨は満足に買い物できなければ、ライブとかも少ないし、体験の機会が少ないんです。でも面白い活動は行われていて、そういう場所でVEJが関わっていけると、山梨では実現しなさそうなことを叶えられる気がする。VEJをきっかけに、山梨になかった風景を見られるようになれば嬉しい。会社がどう変化していくのかも楽しみです」

「会社として、池田さんがやりたいことをやれる環境を作ろうとしてくれている。俺はそこに甘えて山梨に移住することができたと思っていて。それに、俺たちの仕事はつねに技術が変わって、その度に対応しなきゃいけないから、今の仕事だけで成立させていくのは難しいと思うんだよ。だから、いろいろなことに挑戦していくべきだし、その状況から可能性を見出せるはず。そういう意味では、いい未来を描いていけるんじゃないかな」